津地方裁判所 昭和52年(わ)57号 判決 1977年12月23日
本籍
三重県桑名市新矢田二丁目七六番地
住居
同県同市大字矢田四九〇番地
鋳造業
丹村四郎
昭和七年八月一九日生
右の者に対する所得税法違反被告事件について、当裁判所は、検察官木下貴司出席のうえ、審理を遂げ、次のとおり判決する。
主文
被告人を懲役一〇月及び罰金一、二〇〇万円に処する。
右罰金を完納することができないときは、金二万円を一日に換算した期間労役場に留置する。
この裁判確定の日から三年間右懲役刑の執行を猶予する。
理由
(罪となるべき事実)
被告人は、三重県桑名市大字矢田四九〇番地において「益生鋳造所」の屋号で鋳物製造業を営んでいたものであるが、自己の所得税を免れようと企て、公表経理上架空仕入を計上するなどの不正行為により所得を秘匿したうえ
一、昭和四八年一月一日から同一二月三一日までの所得金額は八九、四二一、四九四円であり、これに対する所得税額は五三、三一六、二〇〇円であるのにかかわらず、同四九年三月一五日、同市外堀二四番地所在の桑名税務署において、同税務署長に対し、所得金額が二四、三五四、四二四円でこれに対する所得税額が一〇、三一五、六〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、その差額である四三、〇〇〇、六〇〇円の所得税をほ脱し、
二、同四九年一月一日から同年一二月三一日までの所得金額は三五、〇〇一、五三七円であり、これに対する所得税額は、一五、四五四、二〇〇円であるのにかかわらず、同五〇年三月一五日、前記桑名税務署において、同税務署長に対し、所得金額が五、七六八、二三七円でこれに対する所得税額が八四四、一〇〇円である旨の虚偽の確定申告書を提出し、その差額である一四、六一〇、一〇〇円の所得税をほ脱し
たものである。
(証拠の標目)
判示全部の事実につき
一、被告人の当公判廷における供述
一、被告人の大蔵事務官に対する各質問てん末書及び検察官に対する各供述調書
一、被告人作成の各上申書
一、証人丹村久子の当公判廷における供述及び同人の大蔵事務官に対する昭和五〇年六月二四日付質問てん末書
一、水谷安吉、南達治の大蔵事務官に対する各質問てん末書及び検察官に対する各供述調書
一、清水安郎、西村治、丹村九郎一、渡辺利一、多賀甚太郎、伊藤満蔵、山口昇、石黒基良、田中藤子の大蔵事務官に対する各質問てん末書
一、高永保男、片岡輝男、岡政一、岡町憲二郎、佐藤健、位田嘉宏、横井宏洋、松本忠男、浦野昭、伊藤太郎、服部稔、富田哲、平野正、菊岡榛名、小久保努、堀田幸一郎、鴨頭実幸、松村勇、作成の各上申書
一、岡政一、藤田勝治、西岡隆、小高敏光、佐藤健、山口輝、藤田昌義、加藤浩史、田中繁治、三羽忠雄、岩井卓二、市川馨、川出金一、原田栄次、副田一彦、大起証券株式会社、内山正信作成の各証明書
一、大蔵事務官作成の各調査報告書
一、押収してある総勘定元帳一綴(昭和五二年押第三六号の一)、自由ノート一冊(同号の五)、請求書領収書等一綴(同号の六)、計算メモ一綴(同号の七)、支払手形等一綴(同号の一四)、仕入控帳一綴(同号の一五)土地売買契約書等一綴(同号の二〇)、印章一五五個(同号の二六)、印章四個(同号の二七)、土地売買契約書等一綴(同号の二八)、総勘定元帳一綴(同号の三〇)、試算表一綴(同号の三一)、決算書綴一綴(同号の三三)、振替伝票綴一綴(同号の三四)、リストカード一綴(同号の三五)、預金者管理カード他一綴(同号の三六)、約束手形四枚(同号の三七)、受取手形記入メモ一枚(同号の三八)
判示第一の事実につき
一、平野正の大蔵事務官に対する質問てん末書及び検察官に対する供述調書
一、砂田照俊の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、押収してある総勘定元帳一綴(同号の二)、手形受払帳一冊(同号の三)、仕入帳一冊(同号の四)、仕入帳一綴(同号の一一)、会計伝票二綴(同号の一二、一三)、不動産売買契約書等四綴(同号の一六、一七、一一九、四二)、領収書等二綴(同号の二一、二三)、領収証一枚(同号の二四)、借用証書一綴(同号の二五)仕入帳コピー一綴(同号の二九)
判示第二の事実につき
一、伊東正一、長野建雄の大蔵事務官に対する各質問てん末書及び検察官に対する各供述調書
一、川島幸一郎の大蔵事務官に対する質問てん末書
一、押収してある仕入帳一綴(同号の八)、会計伝票二綴(同号の九、一〇)、土地売買契約書等一綴(同号の一八)、メモ書二枚(同号の二二)、手形記入帳一冊(同号の三二)、請求書控一綴(同号の三九)、納品書控一冊(同号の四〇)、請求書綴一綴(同号の四一)
(法令の適用)
一、判示各所為につき 所得税法第二三八条
一、(刑の併科) 所定刑中懲役刑と罰金刑を併科
一、(併合加重) 刑法第四五条前段、第四七条、第一〇条
(重い判示第一の罪の刑に加重)
一、(罰金額の合算) 同法第四八条第二項
一、(労役場の留置) 同法第一八条
一、(刑の執行猶予) 同法第二五条第一項
(裁判官 桜林三郎)